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千葉大学 OBOG インタビュー

エンターテインメントを通して人に寄り添えるのが演出の醍醐味。
だから多くの人に作品を届けたい。

株式会社TBSスパークルエンタテインメント本部 ドラマ映画部プロデューサー / ディレクター

塚原 あゆ子さん

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

赤いソファの横に立つ塚原 あゆ子さん

塚原 あゆ子(つかはら・あゆこ)

株式会社TBSスパークル エンタテインメント本部 ドラマ映画部 プロデューサー/ディレクター

千葉大学文学部文学科卒業後、TBSスパークルの前身である木下プロダクションに入社。助監督を経て、2005年『夢で逢いましょう』でドラマ監督デビュー。数々の大ヒットドラマのディレクターを務め、2018年には『コーヒーが冷めないうちに』で映画監督デビューも果たした。2021年3月に2020年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。

『グランメゾン東京』『アンナチュラル』『MIU404』などの話題作を数多く演出してきた塚原あゆ子さん。
仕事のやりがいや作品への想い、今後やりたいこと、千葉大学時代の思い出などを語っていただきました。

実績を積むことで自分のチームのブランド力を高める

ドラマのディレクターとはどのような仕事ですか。

塚原

ドラマというのは、企画や原作があり、台本、配役、撮影、編集などを経て作品になっていくわけですが、ディレクターはそのすべてに関わっています。なかでも大きな比重を占めているのは、文字で書かれた台本の世界を、映像の世界に置き換えていく作業です。文字だけでは見えていない部分を可視化し、ドラマの世界観をつくり上げ、技術的な課題を解決していきます。こうした作業は、ディレクター1人では実現できません。各工程を担当するスタッフがいて、チームとして作品づくりに取り組んでいくのですが、要所で判断を下し、生み出す作品のクオリティに責任を持つのがディレクターの役割です。

具体的にチームでどのように進めていくのですか。

塚原

連続ドラマの場合、一作品につきスタッフはおおよそ200名ほどいます。その半分は私がいつも一緒に仕事をするいわば「塚原チーム」。ドラマのディレクターとして思い通りの仕事をするには、実績を積んで自分のチームのブランド力を高める必要がありますが、私も多くの人に助けられながら一つずつ実績を積み重ねたことで、今は思い切り作品づくりに打ち込めるチームを持つことができています。そしてもう半分は、作品ごとに集められるスタッフです。なぜ作品ごとに違うかというと、それぞれのドラマのテーマに合わせた専門家に集まっていただくからです。例えば、事件を扱うようなドラマなら警察や司法に詳しい専門家チーム、レストランが舞台のドラマなら料理や飲食業に詳しい専門家を集めたチームを編成します。自分は専門家にはなれないので、監修者に助けていただきながらドラマの世界をつくっていくわけですね。


2021年4月スタートの『着飾る恋には理由があって』は、塚原さんがディレクターとして初めて挑戦する本格恋愛ドラマ。着飾ることで自分の居場所を得ていたヒロインが、価値観の違う人々との共同生活のなかで自分らしい恋を見つける“うちキュン”ラブストーリーです。

多くの人にエンタメを届けるためにいろいろな可能性を模索したい

話題作を多く手掛けていますが印象に残っている作品は?

塚原

どれも大切な作品なので絞るのはなかなか難しいのですが、自分のチームで制作したものでは、湊かなえさんの小説をドラマ化した『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』の3本、脚本家の野木亜紀子さんと組んだオリジナル作品の『アンナチュラル』『MIU404』が印象に残っています。湊さん原作のシリーズは、モノローグの内省的な世界をどう映像化するかに挑戦したという点で思い出深い作品です。また、『アンナチュラル』と『MIU404』は、テーマが法医学と機動捜査隊という特殊なものだったため、専門家の協力のもと、作品の世界をつくり上げていきました。外部から指名をいただいて自分のチームを離れて仕事をすることもあるのですが、そうした作品では『グランメゾン東京』や、初めて映画の監督を務めさせていただいた『コーヒーが冷めないうちに』が印象深いですね。

仕事のやりがいやこれから挑戦していきたいことを教えてください。

塚原

ラマづくりのやりがいは、エンターテインメントを通して多くの人に寄り添えることですが、近年、若い世代を中心に視聴者のテレビ離れが進んでいるといわれています。今は他局との視聴率競争だけではなく、海外発のプラットフォームやインターネット配信などとも競わなければならない時代ですし、テレビを見ない層にどうすれば作品が届くかをテレビ局も模索しています。そんななかでこれから挑戦したいのは、コンテンツとしての広がりを意識したドラマづくりです。広がりというのは、ゲームやアニメなど他ジャンルへの横展開、様々なクリエーターとのコラボレーション、さらには海外進出などが考えられると思います。また、新型コロナウイルス感染症の流行以降は、家で見たいときに見られるコンテンツの重要性も感じています。作品が流通できる方法を多様化していくとともに、多くの方に見たいと思ってもらえる作品づくりをしていきたいと考えています。

今の自分は未来の自分の一部学生時代を大切に過ごしてほしい

大学時代の思い出をお聞かせください。

塚原

一番打ち込んでいたのは演劇です。千葉大学演劇部の「劇団個人主義」に所属し、舞台に立ったり演出を担当したりしていたほか、東京の劇団でも裏方として手伝いをしていました。キャンパスで印象に残っているのは、西千葉キャンパス内の桜並木です。合格発表を見に行ったときに感動した記憶があります。ご縁があったら、いつか思い出深いキャンパスでドラマのロケをしてみたいですね。

最後に、学生の皆さんへのメッセージをお願いします。

塚原

大学時代というのはそれぞれがいろいろな体験をするものだと思います。私の場合は、それが演劇であり、間違いなく今の自分の一部になっています。今は新型コロナウイルス感染症の影響で、様々な影響が出ていると思いますが、必ず今の自分が未来の自分を形づくっていくはずなので、特別な時代を生きていることを前向きに捉えて、学生時代を大切に過ごしてほしいと思います。

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

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