安福 和弘(やすふく・かずひろ)
幼少期をほぼアメリカで過ごし、高校入学を機に日本に帰国。千葉大学の卒業生であり、カナダへ渡る前は千葉大学で医師として働いていた。現在は、トロント総合病院で医師として働き、日々移植手術や最先端医療技術の研究に励まれている。その活躍は、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられた。
世界トップと称されるトロント総合病院で、肺がんをはじめとする呼吸器外科医である安福和弘先生。現在はロボット手術のパイオニアとして手術に臨むだけでなく、臨床や研究にも日々励んでいる安福先生に、母校である千葉大生の留学を支援する思いを伺いました。
みんな夢を持って、ここへ来ているから教え甲斐がある
現在、私のラボには3人の大学院生とエンジニアの学生がいます。ラボに来る学生は、みんな夢を持って来ているので、教え甲斐があります。国際ニュース週刊誌「Newsweek」でトロント総合病院は世界トップ3に選ばれた*のですが、そのような病院に来る学生は、生半可な気持ちでは来ようとは思わないですよね。
* 国際ニュース週刊誌「Newsweek」が2024年7月に発表した『World’s Best Hospitals 2024』
千葉大学の留学を支援したい
千葉大学では「全員留学」をスタートしてからしばらく経ったかと思います。
千葉大学を含む、日本から来る医学生はみんな目標を持って必死になって学びに留学しています。そして、現地で研修を受け、いい意味でショックを受けることになるのですが、それが凄くいい刺激になるんですよね。受け身の聴講型授業とは違い、ディスカッションをする中で人が育っていく。今回も千葉大学から2人、優秀な学生が来ていますよ。
カナダだと「寄付をする」という支援の方法は当たり前のこととして、文化に浸透していると思うんですよ。お金だけでなく、現に臓器提供も日本よりカナダの方が多い。去年は217例の移植がトロント総合病院でもありました。これは単純計算をすると、3日に2例です。実際に患者さんからも億単位の寄付をしてもらい、それで研究することもあります。だから、私にとって学生時代を過ごした千葉大学に通う学生を大学への寄付などを通じてサポートするというのは当然のことなんです。それが私が出来る恩返しの1つでもありますから。
学生へのメッセージ
海外留学に関心を持つために、もともと興味のある分野に繋げてもらいたいですね。どうしても留学中は観光、美味しいもの、となってしまいますが、勉強の分野でもぜひ興味のあるものを探してほしい。そう言った意味でも大学側がいろんなプログラムの選択肢を増やすのはいいことですよね。
千葉大学で過ごした日々を懐かしく思い出します。今後も皆さんのグローバルな活躍に期待しています。