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感性に優れ、自ら考える人材の育成に向けて 
アカデミック・リンク松戸

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

考える人材の育成を目指して千葉大学が立ち上げた「アカデミック・リンク」。
松戸キャンパスでは2019年、老朽化していた旧附属図書館松戸分館、園芸学部事務棟、実験室などの集約施設として、アカデミック・リンク松戸が完成しました。その役割や魅力について紹介します。

アカデミック・リンク松戸の特徴

附属図書館松戸分館

漢語文化圏に「園芸」という言葉が生まれたのは江戸末期。日本国内唯一の園芸専門図書館として、その当時からの園芸資料を収蔵しているのが、附属図書館松戸分館です。開架式集密書架が整備されたことで、利用者がすべての所蔵資料に直接触れることができるようになりました。また、江戸・明治期園芸書コレクションをはじめとするデジタルアーカイブ「c-arcシーアーク」をオンラインで閲覧することが可能です。

緑のテラス

2020年、既存のイタリア式庭園とアカデミック・リンク松戸をつなぐ緑地として整備されたのが「緑のテラス」です。傾斜地の多いイタリアでは、地形の段差を利用したテラス構造が庭園様式の特徴です。緑のテラスはこの歴史的庭園の構造を活かした設計となっていて、2021年度のグッドデザイン賞を受賞しました。竣工にあたっては、園芸学部・園芸別科・大学院園芸学研究科の同窓会組織「戸定会」の寄付も活かされました。

様々な学習支援機能・コンテンツ

アカデミック・リンク松戸では、様々な学習支援機能やコンテンツを揃えています。アクティブラーニングスペースには植物を持ち込み観察・スケッチすることも可能です。「フィールド実習支援棚」には、学生個人が所有できない分厚い植物図鑑や事典を配架しています。また、教員が推薦する園芸学研究科の大学院生が学部生の学習や研究に関する相談に応じる「領域別学習相談デスク」も、アクティブラーニングスペースの一角に設置しています。


学内外に向けて開かれたアカデミック拠点に

千葉大学のアカデミック・リンク構想は、「学習とコンテンツの近接」による能動的学習が大きなテーマですが、豊かな自然に恵まれた松戸キャンパスでは、これにフィールドを加えた「学習とコンテンツとフィールドの近接」を掲げています。
4階建てのアカデミック・リンク松戸は、2階に活発なコミュニケーションが可能なアクティブラーニングスペース、3階に読書に集中できる静かな閲覧スペースを設置し、園芸学部と園芸学研究科で学ぶ学生たちの研究や学習を支える場となっています。

これからのリーダーや卓越人材は、論理的な思考だけでなく、論理化されていないものに気づける感性も求められます。松戸キャンパスには、そうした感性を養える豊かな自然があり、加えて海外から多くの留学生が来ているため、多様な価値観に触れることもできます。自然に触れ、伝統に学び、国際的なコミュニティと交わることで、総合的な人材を育成することを企図しています。

また、国内唯一の園芸専門図書館として、学外の研究者の利用に対応するため貴重書のアーカイブ化と公開を進めたり、隣接した松戸市戸定歴史館と連携して展示や市民参加事業を行ったりと、外に開かれたアカデミック拠点としての機能も強化しています。

園芸学部長 / 大学院園芸学研究科長
松岡 延浩 教授 (左)

研究成果は人に伝えてこそ意味を持ちます。そういう点で、学生が知的なコミュニケーションをとる場が整備されたことには大きな意義があります。主体的に研究を深め、自らを成長させる場として目いっぱい活用してください。

附属図書館 松戸分館長
小林 達明 教授 (右)

松戸分館は大学附属図書館分館として、他に類を見ないほど恵まれた施設です。在学中はもちろん、卒業してからも大いに利用してください。また、今後も改善していくつもりなので、要望があればぜひお聞かせください。


アカデミック・リンク松戸の施設やコーナー

静寂フロア(3階)

閲覧スペースは回廊構造になっていて、すべてのデスクが外に向かっているため、十分な明るさが確保され、周囲の庭園を眺めながら勉強できます。また、デスクがかなり広いつくりなので、静かな環境のなか、資料や大きな専門書もストレスなく広げられます。

私の1冊(3階)

園芸学部の教員が、専門分野に限らず学生に読んでほしい本をお勧めするコーナー。附属図書館亥鼻分館で好評だった企画を取り入れました。

研究資料ナビゲータ(2階)

園芸学部の教員が、これから研究を始める学生たちに読んでもらいたいと考える文献を選び、推薦コメントをつけて、教育プログラム別に全542冊(2022年6月現在)を配置した常設コーナー。栽培学や生物学にとどまらず、園芸学の多様性と関連学問とのつながりを表す幅広い分野の図書資料が並んでいます。

アクティブラーニングスペース(2階)

庭園から緑のテラスを通って直接アクセスでき、「学習とコンテンツとフィールドの近接」を体現する学習スペース。壁全面のホワイトボードが設置され、仕切りがなく、デスクは可動式で、個人でもグループでも自由なスタイルで学べます。

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

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