CHIBA UNIVERSITY

SPECIAL

国際教養学部のこれまでとこれから

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

この春、国際教養学部の1期生が卒業しました。
卒業1期生である山本さんと小澤学部長に、4年間の歩みや学びの場として充実してきたこと、今後の展望などを語り合っていただきました。

小澤 弘明(おざわ・ひろあき)

1980年東京大学文学部卒業。千葉大学文学部教授を経て、2014年より千葉大学教育改革担当副学長。2016年度に創設された国際教養学部の学部長も務める。専門は歴史学、国際関係論。

山本 恭輔(やまもと・きょうすけ)

2016年、千葉県立千葉高等学校を卒業、同年、千葉大学国際教養学部に入学(1期生)。映画を題材に、人種やジェンダーについての研究を行う。2020年、同学部を卒業し、千葉大学大学院総合国際学位プログラム(修士課程)に進学。

学際的な学びで課題解決型の人材を育成

1期生卒業についての感想をお聞かせください。

小澤

国際教養学部設置の目的は、課題解決型の人材を育成することです。その軸として、文理混合教育や全員留学、6ターム制といった教育改革を実施しています。1期生はこのコンセプトを十分に理解して入学し、教員とともにグローバル教育の柱を担う学部として育ててくれたと思います。

山本

実際に4年間学んで実感したのは、学際的な学びができるという点です。私は幼いころから映画制作に興味があり、エンターテインメントを学術的に研究したいと思って入学しましたが 、ニューヨークへの留学で映画制作も学べ、映画のテーマとなる社会的な課題にも目が向くなど、総合的な映画の捉え方ができるようになりました。それは、この学部ならではの学び方だと感じています。

テーラーメイド教育などが特徴

具体的な学びの特徴と、実際に学んだ感想は?

小澤

学問の境界をあえて作らず、選択可能性を保証しているのが大きな特徴です。専門家育成は従来の学部学科でもできますが、社会課題が複雑化している今、学問の垣根を越えて俯瞰する視点で問題を捉え、専門家と専門家をつなぐことのできる人材が求められています。そういう学際的な課題解決力を鍛えるために、海外大学のリベラルアーツ1)やクロスメジャー2)といった考え方を積極的に採用しています。

山本

私は、取り組みたい課題を自ら設定し、研究を深めていけるテーラーメイド教育が印象に残っています。設定した課題を解決するために必要なテーマを学べるので、一つの課題に対して多様な視点から考察する力が身につきましたし、各自が自分のテーマを明確にする手法を鍛えられるので、単に知識の積み上げでは終わらず、知識を課題解決のために活かす力が身につくのだと思います。

学習環境の整備を進める

カリキュラムや施設、支援制度などの変化は?

小澤

学部棟は、もともと学生が自由に使えるよう配慮されたつくりですが、図書スペースやコミュニケーションサロンなど、利便性の面で学生の意見を取り入れ改善しています。また、国際教養学部には、教員とは別にSULA(p4参照)というアドバイザリースタッフを配置していますが、この4年間で増員を図っています。さらに、世界情勢を踏まえ、物理的な留学だけでなく、オンラインで海外大学の講義を受けられるなど、グローバルな教育を実現する環境整備を進めているところです。

山本

1期生は先輩がいないので、何をするにも前例がありませんでしたが、SULAの存在はとても頼もしかったです。先生方との距離も近く、カリキュラムについても学生側からのフィードバックの場を設けていただき、様々な提案をすることができました。今後ともこうした学生の声によってより良い学びの場になっていくのではないかと思います。

大学院の設置、同窓会発足など、活動はさらに広がる

この4年間の成果を踏まえて、今後の展望を教えてください。

小澤

私は国際教養学部を、全学の教育改革を先導するという意味で「パイロット学部」と呼んでいます。ここでの取り組みを先進事例として、大学全体で改革を進めていきたいと考えています。また、この4月からは、国際教養学部と共通したコンセプトの大学院総合国際学位プログラムがスタートしました。千葉大学の国際教育、学際教育がさらに加速するものと期待しています。

山本

学部4年間を通して研究の面白さを知り、就職ではなく大学院総合国際学位プログラムへの進学を選びました。これから映画制作やエンターテインメントを意義あるものとして社会に還元する方法を考えていこうと思います。また、1期生の仲間と今後もつながりを維持できるよう、学部カラーの紫にちなんだ同窓会「紫友会」を立ち上げました。初代会長としてこちらの活動も盛り上げていけたらと思います。


国際教養学部5つの特色

日本の力を新たな価値あるものとして世界に発信し続けることのできる
グローバル人材の育成に向けた5つの特色をご紹介します。

01. 文理混合による課題解決型教育

総合大学の強みを活かした、文理混合教育を実践。また、課題解決型教育として、最初から決められた学問分野を出発点とするのではなく、日本および世界に生じている様々な事象を分析して自ら課題を発見することからスタートし、その解決のための知識を選択・統合し、解決能力を育む教育を実践しています。

02. テーラーメイド教育とSULAによる学修支援

学生一人一人が設定した課題に応じて、その解決のためにどのような科目を履修するか、課題解決に必要な活動体験や海外留学をいつどのように行うか、教員やSULA(Super UniversityLearning Administrator)と呼ばれる学修支援スタッフが相談にのりながら、学生個々のニーズに合わせて「テーラーメイド教育」を行います。

03. アクティブラーニング

千葉大学はアカデミック・リンク・センターやイングリッシュ・ハウスなど、学生が主体的に学べる場所を用意。また、双方向型授業設備の積極的な導入や、大学院生による学習支援制度の運用など、大学全体として学生の主体的な学びをサポートする環境を基盤として、アクティブラーニングを積極的に展開しています。

04. ソーシャルラーニング

世界と地域の双方を舞台にしたフィールドワーク、インターンシップ、ボランティアなどの活動体験を重視し、「現場で学ぶ・現場を学ぶ」学修を通して、理論だけでなく実体験に則した知識の活用と課題解決能力を育成。これらの活動体験は、事前学習・事後学習を通じて体系的な科目として構成され、体験によって得た学びを個々のものとしてとどめるのではなく、普遍的な課題として考えることのできる能力を育てていきます。

05. 海外留学

異文化との接触、海外の学生との協働を通じた国際理解と日本理解の育成を目的に、卒業までに最低1回の留学を行うことを全学に先立って必修化。留学にも柔軟に対応可能なターム制(1年を6タームに分割)を活用し、難易度・目的・期間別に多様な留学プログラムを全学と連携しながら提供。2020年8月現在、258の海外の大学と大学間交流協定を結んでおり、3回以上の留学を経験した学生もいます。


大学院総合国際学位プログラムがスタート!

Graduate Degree Program of Global and Transdisciplinary Studies

神里 達博 学位プログラム長に聞く

2020年4月、千葉大学は日本で初めて、既存の大学院組織の枠組みを超えた
異分野融合型学位プログラム「大学院総合国際学位プログラム」を新設しました。
創設の狙いや概要、目指す方向性について、学位プログラム長である神里達博教授にお話を伺いました。

「大学院総合国際学位プログラム」創設の狙い

学部学科や大学院で体系的に知識を積み上げる従来の学びは、個別の専門性を高めるうえでは効果的ですが、複雑化した社会の問題を解決するために、分断された知と知をどうつなげていくかが課題でした。既存の学問領域を超えて社会課題に向き合える人材、社会のなかで意味のある問いを発見し、ディスカッションやプレゼンテーションを通して課題を解決できる人材を育成することを目的として創設されたのが大学院総合国際学位プログラムです。

トランスディシプナリーを前提とした教育を提供

既存の学問領域を超えた課題解決には、2つの考え方があります。1つは既存の学問を組み合わせて課題解決を図る方法、そしてもう1つは、課題からスタートし、解決のために必要な学問を検討し、場合によっては新たな学問を創造しながら解決にあたる方法です。大学院総合国際学位プログラムでは、トランスディシプナリーと呼ばれる後者を前提とした教育を行います。

3つの探求課題とセルフ・デザインド・メジャー

大学院総合国際学位プログラムでは、多分野の知を組み合わせた探求課題として、「移民・難民研究」「科学技術社会論」「環境科学」の3つそれぞれを学修しつつ、学生が自主的に専攻を設計するセルフ・デザインド・メジャー(自己設計専攻)により自律的に研究計画を立案・実践していきます。

総合大学ならではの取り組みで他分野に広がる可能性

単に教育を提供するだけでなく、社会の問題解決の拠点となるのが理想です。今後は例えば、企業や官庁などで課題を抱えている人がこの大学院に来て、文系/理系の垣根を超えつつ、千葉大学の知のリソースを縦横無尽に使いながら、解決の方法を模索するような場になればと思います。

神里 達博(かみさと・たつひろ)
東京大学工学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。三菱化学生命科学研究所、東京大学・大阪大学特任准教授などを経て、2016年に千葉大学国際教養学部教授、2020年に大学院総合国際学位プログラム長に就任。専門分野は科学史、科学技術社会論、リスク論。

大学院総合国際学位プログラム 3つの探求課題

移民・難民研究

グローバル化にともない、地球規模でヒトが移動しています。移動する人びとの福利を実現するにはどうすれば良いのか。政治・経済・社会・文化・生活のあらゆる側面から、公正な社会を実現するため、この問題に学際的に取り組みます。

科学技術社会論

科学や技術の発展によって社会はどう変わっていくか。科学や技術の政策やビッグサイエンスが社会に及ぼす影響は何か。科学、技術と社会の境界面で生じる様々な問題の解明に学際的に取り組みます。

移民・難民研究

地球規模の気候変動と温暖化にともない、人間や動植物を取り巻く環境はどう変化しているのか。身近な地域のエコロジー、社会環境や都市環境の改善は生活の質をどう向上させるのか。学際的な研究に取り組みます。

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

この記事をシェアする

SPECIAL

HOMEに戻る