千葉大学では、交換留学生が国立歴史民俗博物館の展示のみどころや歴史的背景等を研究し、留学生の母国語で展示内容を来館者に紹介する「ワークシート」を制作するプロジェクトを2009年より行っています。このプロジェクトは千葉大学が大学間交流協定校から学生を受け入れるプログラム(J-PAC)の一環として実施され、留学生は博物館の展示スペースの中から1か所を選び、西千葉キャンパスでの授業とともに、毎月1回は同博物館を訪問し、教員から展示を見ながらの指導を受け、1年間かけて制作を行います。これまで合計64のワークシートが、留学生の母国語である中国語、タイ語、ロシア語、ドイツ語、インドネシア語、英語などさまざまな言語で制作されています。
2023年8月4日(金)、国立歴史民俗博物館において今年度プロジェクトに参加した交換留学生5名がワークシート発表会を行いました。
発表会当日は、和田健国際教養学部長の挨拶のあと、作成したワークシートを持って館内の展示を観覧し、そのあと5名の留学生が発表を行い、発表を聞いた留学生や、1年間指導にあたった同博物館の教員が講評を行いました。
留学生が作成したワークシートのテーマは、「江戸図屏風の旅」「江戸時代の農村生活」「江戸時代の庶民の旅」「妖怪世界へのミステリーツアー」「高度成長期の深淵に眠る旧田子倉集落」。いずれも深い考察やユーモアを織り込んだ力作で、普段なら見過ごしてしまったかもしれない展示も、このワークシートを片手にするとじっくりと足を止めて見入ってしまうことが期待されます。
「江戸図屏風の旅」では、江戸時代初期の江戸の地図が描かれた屏風絵の中から江戸城(皇居)、日本橋、上野、浅草といった名所を拡大し、現在の写真と比較できるように作成されています。作成者の張依玲さんは、「日本に初めてきた外国人観光客が行くであろう場所を拡大し、歴史民俗博物館に来てこの屏風絵を見たときに興味が持てるように工夫しました。」と発表しました。
本プロジェクトでこれまでに学生が制作したワークシートは、同博物館の第一、第二展示室の間の休憩スペースに配架されており、来館者が実際に展示ガイドとして使用することができます。今年度もプロジェクトの修了証書授与のあと、ワークシートの配架式が行われました。
発表会の閉会の辞で吉野文副学長は、「このプロジェクトに参加した学生は日本と母国の架け橋として活躍している人が少なくない。これからも続けていきたい。」とコメントしました。
国立歴史民俗博物館ウェブサイトでも制作されたワークシートをご覧いただけます。