2人の千葉大生が、⽇ ASEAN ユース・フォーラム Take Actions for Social Change (TASC) 2023*のプログラム参加者に選ばれました。ASEAN域内でのフィールドトリップを含む4か月に渡る活動を経て、11月24日(金)に開催されたシンポジウムで、ASEANの大学生と一緒に社会課題解決のためのアイデアやアクションを発表しました。
TASCの日本側学生メンバーとして選ばれたのは、教育学部2年の鳥羽翔大さんと理学部2年の門野美佳さんです。2人とも千葉大学の環境ISO学生委員会に所属し、日頃から環境問題などの社会的課題解決に向けた活動を実践しています。
鳥羽さんは「高齢化社会」、門野さんは「環境・防災教育」のチームの一員として、数カ月の間チームの仲間と対話しながら、より良い世界を創るアイデア・アクションを共創し、その成果をこの日堂々と英語で発表しました。
〔参加学生の声〕
★教育学部2年 鳥羽翔大さん
私は TASC2023で「高齢化社会」をテーマに活動し、8 月のフィールドトリップ(タイ)や 11月の日本視察(広島・東京など)を通して、日本とASEAN の「高齢化社会」の現状や課題、解決に向けた取り組みについて学びました。
ASEAN の社会は非常に速いスピードで発展していったがために、高齢化も非常に速く進行しています。しかし、その変化に社会保障や医療などさまざまな面における制度が追い付いておらず、この先 ASEAN 諸国において「高齢化社会」問題はより深刻さを増していきます。日本が課題先進国だと言われていることから、ASEAN が「高齢化社会」において抱える問題も日本と同じだと思われてしまいがちですが、人口や政治形態、国民性などがASEAN 諸国ではそれぞれ大きく異なるため、「高齢化社会」の捉え方も国によって大きく異なります。しかし、ASEAN のあらゆる国の学生と協働できたことで、「高齢化社会」の本質的な問題や恩恵となる面を多様な観点から学び、考えることができました。
また、ASEANの学生との協働という点で、私が強く印象に残ったことは ASEAN の学生のレベルの高さです。英語力のレベルが高いことはもちろんのこと、思考力や表現力、質問の鋭さや、情報を理解しまとめるまでのスピードなどあらゆる面で非常に能力が高いと感じました。その理由ですが、おそらく彼らは、自分が行動を起こす、自分が発信する、自分が何かを変えるといったような意識が非常に強いのだと私は考えました。
私たち 日本人学生は ASEAN の学生から「日本人はまじめで勤勉、忙しい」という印象を持たれています。確かに彼らと話をする中で、ASEAN の学生はもっと悠々自適であると感じました。しかし、だからこそ彼らは自分自身の将来や自分の国について考える時間をしっかりと持っており、自分が何をすべきかを理解しているのではないかと感じます。日本にいるとどうしても慌ただしく時間だけが過ぎてしまうことが多々ありますが、彼らのように自分自身を見つめる時間を持つことはとても大切であり、私も見習うべきだと思いました。
最後に、本プログラムで千葉大学、そして日本という枠を飛び出してさまざまな人と出会うことができました。文化や価値観、背景の違う人たちと過ごした日々は自分にとって非常に刺激的であり、生涯を通して糧となる経験を得ることができた4カ月間でした。ぜひ皆さんにもこのような国際交流を経験してほしいと考えています。もちろん言語の壁や文化の違いから大変なことは多々あると思います。しかし、それ以上に楽しく有意義な時間を得ることができるのがこのような国際交流プログラムです。少しでも国際交流に興味がある方は、ぜひ勇気を出して一歩踏み出してみてください。
★理学部2年 門野美佳さん
TASC2023 に参加したこの4 カ月間は、一生忘れることができないような濃密な体験の連続でした。私はインドネシアと日本の両国で、防災教育や環境問題に取り組むコミュニティや施設を訪れ、学びを深めました。これらの国々が抱える共通の課題に気づくとともに、何かを変えたいとき、周りを取り巻く環境や人とどのように関わりながら取り組めばよいのかを学びました。
この2回のフィールドトリップを通じて、今までは知らなかった多くの知見を得ることができました。その上で、最も大きな収穫は他の参加者たちとの交流から得たものです。異なる国の大学生との交流は非常に貴重な経験となったほか、彼らの学びに対する意欲的な姿勢に大きな刺激を受けました。また、プレゼンテーションスキルや思考のスピードにはいつも驚かされました。他の参加者のみんなから学んだことの大きさは計り知れません。
加えて、そのような仲間と同じ目標を掲げて協働するということもすばらしい経験となりました。フィールドトリップ後も定期的にオンライン会議を重ね、グループのメンバーと一からアクションプランを作り上げました。メンバーとの活動の中で特に気をつけていたのは、自分がチームの中で果たせる役割についてしっかりと考え、何か意見があれば臆せず伝えてみるということです。もともと私は自分の英語力に自信がありませんでした。しかし、とりあえず言葉にしてみるとみんな理解をしてくれ、それによりグループに貢献できたときには、自分にとって今まではなかった自信にも繋がりました。
また、メンバー間でそれぞれの国籍も専攻も異なっていたからこそ、その相互作用を通じて良い成果を生むことができたと感じています。 そして、プログラム期間中は学びだけでなく、楽しい瞬間もたくさんありました。オンライン会議後には延々と雑談をしたり、夜は一緒にショッピングに出かけたり、移動のバスの中でカラオケをしたりなど、忘れがたい思い出が数多くできました。また、訪日研修中には通訳やガイドを務め、国際交流を新たな角度から楽しむことができました。
異なる国の友達とかけがえのない絆を築くことができたことをとてもうれしく思います。これからもこの繋がりをずっと大切にしていきたいです。以上のように、TASC2023を通して得た経験は何事にも代えがたいものでした。自分でも多くの面で成長できたと感じるほか、将来社会に貢献できる人材になりたいという意識が高まりました。これをきっかけとして、自ら積極的に行動することを意識し、新しいことに挑戦していきたいです。このような貴重な経験を得られて本当に良かったと思っています。国際交流に興味のある方がいれば、ぜひ一度プログラムに参加してみてください。
*⽇ ASEAN ユース・フォーラム Take Actions for Social Change (TASC) 2023
独⽴⾏政法⼈国際交流基⾦と公益財団法⼈かめのり財団が、ASEAN ⼤学ネットワーク**と共同で、ASEAN 各国と⽇本の若者間の相互理解を深めるため、⽇本-ASEAN 友好協⼒50周年を記念し開催された交流事業です。
TASCでは、日本と ASEAN 各国から参加する 30 名の大学生が 6 つのチームに分かれて、『2050 年により良い世界を共に創る』という大きなビジョンの実現に向け、「高齢化社会」、「多様性」、「環境・防災教育」という3つの共通課題について、オンライン研修や ASEAN フィールドトリップ、訪日研修を通して学びを深めた上で、チームメイトと協力して具体的なアクションプランを作成しています。
フィールドトリップはチームごとに本年8月下旬から9月上旬の間に、タイ、インドネシア、フィリピンのいずれか1か国を約1週間の日程で訪問し、チームに与えられたテーマに即した講義や演習、実地視察を組み合わせた内容となっています。
**ASEAN ⼤学ネットワーク
1995年に設立。ASEAN10か国にある30大学をメンバーとし、学生交流の促進、単位互換制度の運用、教育の質保証といった高等教育に関わるテーマについて連携・協力するプラットフォームとして、域内の人材育成や高等教育の発展のための取り組みを推進しています。