千葉大学キャンパスツアーガイド第2弾は、亥鼻キャンパスです。東京ドーム約6個分(約27万㎡)の敷地面積で、長い歴史を持つ医学部・薬学部に、国立大学唯一の看護学部という医療系の3学部と関連センターが設置されています。
今回ガイドを務めていただいたのはキャンパスツアーが開始された当初からのメンバーである薬学部の宮田智生さん(写真:右)と、看護学研究科の菅原七海さん(写真:左)です。
――本日は実際にキャンパスツアーに同行させていただきます。よろしくお願いします!
宮田・菅原: よろしくお願いします!千葉大学は1949年創立ですが、実はそれぞれの学部の歴史はもっと古くからあって、たとえば医学部ですと1874年(明治7年)まで遡ります。今日はそんな歴史のある亥鼻キャンパスをご案内しますね。
看護学部・ナイチンゲール像
1975年に開設された看護学部は、現在でも国立大学で唯一となっています。看護学部管理棟は2014年に改修を行い、ストレッチャーも入るエレベーターや病室さながらの実習室などがあります。1階では卒業生から寄贈されたナイチンゲール像が学部生を見守っています。
リフレッシュコーナー
看護学部は、教員も学生も女性の割合が高く、教育研究や学業と育児を両立するために授乳室などの設備が整っていることも特徴の一つです。学部棟の中にはリフレッシュコーナーと呼ばれる場所が数カ所あります。ここは授業の合間や昼休みなどに、友達と過ごしたり、食事をしたりする場所として人気です。
医学部旧本館
こちらは医学部の旧本館で、1936年(昭和11年)に建てられた当時は「東洋一の病院」と称されていて、日本の代表的な建物とされていました。病院が現在の場所に移ってから2020年度までは医学部の本館として使われていました。
外壁はスクラッチタイルで、内部の床には色とりどりのタイルが使われており、入口はステンドグラスのトップライトから光が降り注ぐ吹き抜け空間になっています。内壁柱等には、当時入手困難だった貨幣石大理石をイタリアから大量に輸入して使用しており、当時のこだわりが感じられます。数々の映画や医療系ドラマのロケ地としても使用されてきました。
(※今現在、医学部旧本館の建物内に立ち入ることはできません。)
献体の碑
医学を学ぶためには人体解剖学実習が欠かせません。教材として自身の遺体を無条件・無報酬で提供することを献体といいます。「自分の死後、遺体を医学の教育と研究のために役立てたい」と志した方が生前から大学に登録し、亡くなられた時、その遺志にしたがって遺体が大学に提供されます。この碑の前で、毎年1月に献花式及び献体成願者名簿の奉納式が行われています。
ゐのはな記念講堂
千葉大学医学部85周年を記念して、1963年に作られた記念講堂です。座席数784席のホールがあり、集会やシンポジウム、式典などが行われるほか、亥鼻キャンパスの音楽系のサークルやダンスサークルなどが使用しています。
体育館・サークル会館
亥鼻キャンパスにもたくさんの部活やサークルがあり、野球やテニス、剣道など運動系の部活やサークルが20団体、軽音や手話、ジャズなど文化系・音楽系は10団体あります。
薬学部棟
千葉大学の薬学部は日本で最も歴史のある薬学部で、その歴史は1890年(明治23年) に設置された第一高等中学校医学部薬学科まで遡ります。
1918年に新築された「猪之鼻学舎」の上に、この屋根飾りがありました。1966年、学部棟の移動とともに西千葉キャンパスに移されましたが、2011年に薬学部が亥鼻地区へ戻ることになり、かつてと同じ場所に再設置されました。学部棟内にはたくさんの実験室や研究室が入っています。
医学系総合研究棟
2021年4月に完成した、地上11階建ての医学系総合研究棟です。建物の外観は、千葉大学医学部の歴史と先進性を表すデザインとなっています。この道は桜並木になっており、3月末頃になると地域の人たちも訪れる人気の撮影スポットになります。
それでは中に入ってみましょう。
アクティブラーニングスペースには、自由に学習空間をレイアウトして、想像力を高めながら議論を行える「未来と創造」、落ち着いた環境で資料の閲覧や勉強を行える「智彗(ちえ)と歴史」の空間があります。その時々のニーズに合わせて自由に活用できるので、学生にも人気のスポットです。
そのほか、総合研究棟には講義室、実習室、解剖実験室、司法解剖室、カンファレンスルームなどがあります。千葉大学は医学の根幹をなす解剖学領域において全国最大級のスペースがあります。
医学部附属病院
こちらは医学部附属病院で、病院実習などで学生も出入りすることがあります。ドラマの撮影等でも使用されており、テレビでよく見かける手前の建物は「外来診療棟」です。その奥の新中央診療棟には、屋上にヘリポートがあり、救命救急センターや集中治療部などがあります。この建物の向こう側には5つの棟があり、入院病棟や教育研修棟などがあります。
医療系のキャンパスということもあって、専門的な施設・設備が多いのが印象的です。最後に、ガイドを務めていただいたお二人にお話を伺いました。
――千葉大学の志望理由や入学してからの感想を教えてください
宮田:入試の難易度が高かったので入学してもついていけないんじゃないかと不安だったのですが、周りを見ているとみんな新しい内容に時には苦戦しながらもしっかり取り組んでいるのが印象的でした。みんなも一緒に難しいことにチャレンジしているんだなと少し安心もしました(笑)。
菅原: 私は家族のケアに来てくれていた訪問看護師さんの存在が看護学部を志望したきっかけです。その方は家族の関係や役割、瞬時の思いなどを的確にキャッチして対応してくれていたんです。そこから興味を持ち、「訪問看護師 空気を読む」とウェブで検索してみたら、千葉大学の先生が行っている研究にヒットしました。「看護師になるために大学に進学するの?」と周りにもよく言われましたが、看護学を科学として研究するということに魅力を感じて、千葉大学を志望しました。
――なぜキャンパスツアーガイドをやろうと思ったのですか?
宮田:実は高校2年生の時に千葉大学のオープンキャンパスを家族で訪れたのですが、予約制だったのを知らずに参加できなくて(笑)。そんな経験もあって学部のことをもっと知ってもらう機会があればいいなぁと思っていたところに、大学からキャンパスツアーガイドの案内があったので、ぜひ参加してみたいと応募しました。
菅原:私が高校生の時に看護師を目指して千葉大学を志望した時、周りから「なんで大学へ行くの?」「なんで千葉大学なの?」とたくさん聞かれたんです。同じような思いをしている看護学部を目指そうとしている高校生に、私の経験を伝えることで進路の選択肢の幅がより広がればいいなと思って応募しました。
――ガイドを経験されていかがですか?
菅原: 参加者の高校生はガチガチに緊張した様子で参加してくださるので(笑)、ガイドの中でいろいろとお話しすることで少しずつ緊張がほぐれ、最後には「実は私、こんなことがしたいんです!」というような形で自分の話をしてくれるようになってくれることがあって、そういう時に「やっていてよかった!」と思います。
宮田:高校生本人の反応も嬉しいのですが、お子さんの受験に不安を感じていらっしゃる保護者の方から「ありがとうございます」と言われると、自分が役に立てていることをより実感します。
――お二人のおすすめスポットを教えてください!
宮田:医学部総合研究棟のアクティブラーニングスペースがおすすめです。図書館で自習することもありますが、ここだと友達と話し合いながら作業することもできるので使い分けをしています。
菅原:看護学部棟にあるリフレ(リフレッシュスペース)が好きです。授業の合間に学部のみんなと集まっておしゃべりしたり、ご飯を食べたり、勉強をしたりといろいろな場面で使用しています。
――ありがとうございました!それでは最後に、千葉大学を目指す方にメッセージをお願いします。
菅原:まずは今の高校生活を目一杯楽しんでください!楽しい高校生活の先に楽しい大学生活があると思うので、今やるべきことをしっかりやりつつ、今しかできないことを精一杯頑張ってもらいたいなと思います。
宮田: 受験は長期にわたるので先が見えない・・という気持ちになってしまうこともあると思いますが、焦らず、目標に向かって一つ一つ積み上げていってもらえればと思います。やる気が出ない、大学生になるイメージがなかなか湧かない・・というときは、ぜひキャンパスツアーに参加してみてください!