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墨田サテライトキャンパスとdri

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

工学部が100周年を迎えた2021年4月、デザイン教育・研究の分野を超えた発展を目指して、墨田区に千葉大学墨田サテライトキャンパスがオープン。同時にデザイン分野の総合的教育・研究拠点となる「デザイン・リサーチ・インスティテュート(dri)」が設置されました。

墨田サテライトキャンパス施設紹介

デザイン・リサーチ・インスティテュート(dri)では、分野横断的にデザイン教育・研究を行います。これからのデザインには、これまで以上に生活現場における密なやり取りが重要です。そのため、墨田サテライトキャンパスでは、建物そのものを実証実験空間と捉え、地下1階から地上2階の地域開放スペースをはじめ、地上3階から5階の大学専用スペース・共同研究スペースまで、全ての空間を最大限活用して多様なプロトタイピングとシミュレーションを展開していきます。より良い生活を創出する最先端のデザイン教育・研究拠点として、また、地元企業との協働や地域住民が利用できるコミュニティスペースとして、大きな期待が寄せられています。

5F コモンスタジオ

学生チームが実際のプロジェクトを通して実践的なデザイン研究を行うオープンスペース

4F イノベーション・アトリエ

旧体育館を活用したアトリエ。高天井を活かした大型建造物の実証や活動発表会場などに利用

4F インタラクティブ・スタジオ

企業との共同研究のためのフロアで、100平米のスタジオやコワーキングスペースなどを併設

3F ラーニング・スペース

講義室、ラーニングコモンズ学内プロジェクトスペース、事務室で構成された学習フロア

墨田サテライトキャンパス開講授業
デジタルファブリケーション・デザイン

これからのものづくりで大きなカギを握るのが、3Dプリンターやレーザー加工機などのデジタル造形機器です。
こうした最新機器の使い方を学び、ものづくりに活用していく方法を学ぶのがこの授業です。自由な発想を形にするマインドを培い、今後のデザイン・ものづくりの現場で活躍できる創造的な人材を育成することを目指しています。

デザイン・リサーチ・インスティテュート(dri)
青木 宏展 助教

授業のテーマは、自分の生活に役立つものを各自でデザインしてデジタル造形機器を用いて形にすることです。機材の使い方に習熟するまでは失敗もありますが、教員がサポートしながら進めています。単に精度の高いものづくりをするためだけではなく、試行錯誤のプロセスを含めてアーカイブ化し、共有することを最終目的としています。千葉大学は総合大学で多様な学生がいるので、専攻に関わらずぜひ積極的に参画してほしいと思っています。

融合理工学府デザインコース博士前期課程1年
大津 聡一郎さん

電子工作部品のケースやペン立てなどの製品デザインを行いました。この授業で学んだのは、3Dプリンターで思い通りの形をつくるには、データを調整したり工夫したりする必要があるということ。将来はプロダクトデザイナーを目指しているので、先生や他の学生とディスカッションしながら学べるこの授業はいい経験になっています。


総合大学の知見を活かして
分野横断的にデザインを実践・研究

デザイン・リサーチ・インスティテュート長
植田 憲 教授

3つの強化ポイント

クロスアポイント
メントシステムによる
多様な高度実務家教員の採用

高天井・大空間を
活かした実物大の総合的
プロトタイピング

社会の課題解決の
実践と教育・研究が
隣接した環境

新しいデザインニーズに対応できる人材を育成

デザインといえば、色や形をきれいに見せるだけでなく、近年では日々の生活をより良く便利にするといった視点で語られることが増えています。こうした社会ニーズに対応できるデザイン人材の育成を軸に、柔軟で実践的な教育・研究を行うのが墨田サテライトキャンパス、そしてdriです。
千葉大学は総合大学なので、建築や園芸、医学など、多様な分野の専門家がいます。こうした教員がdriに参画することで、より幅広いデザインにアプローチできるという狙いがあります。
「生活の全てをシミュレートする」というコンセプトのもと、driには3つの強化ポイントがあります。1つめの実習授業の充実で重視しているのが、多様な領域のプロフェッショナルによる最先端の教育です。クロスアポイントメントシステムにより、企業などの第一線で活躍しているデザイン実務家を雇用し、学生の実践力をさらに強化します。

キャンパスのあるまちづくりで墨田区に貢献

2つめのリアルとバーチャルの統合は、最先端のデジタル造形機器を活用することでバーチャルな設計とリアルの試作を繰り返しながら、より精度の高いものづくりを実現するというものです。天井の高い大空間を使い、家を一棟建てるといった大規模シミュレーションも可能です。
そして3つめが地元事例に基づく実践です。これまで大学が無かった墨田区にとって、総合大学である千葉大学には、まちづくりの面でも大きな期待が寄せられています。墨田区は、伝統工芸から先端エンジニアリングまで、優秀な中小企業が集まっているものづくりのまちなので、様々な協働の可能性がありますし、すでに商店街の活性化プロジェクトに取り組んでいる教員もいます。また、地域開放スペースでは、今後はワークショップなども開催していきたいと考えています。デザインは、分野をまたいで多様な発想がつながる学問領域です。このキャンパスが、実験的精神で新しい学びのスタイルを創造できる場になることを期待しています。

※記事に記載された所属、職名、学年、企業情報などは取材時のものです

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