2021年夏に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。
千葉大学の学生・教員や卒業生が様々な場面で活躍しました。
パラバドミントン日本代表として出場
パラリンピック バドミントン WH1クラス 男子シングルス
長島 理選手
(2003年工学部卒、2005年大学院自然科学研究科修了 株式会社LIXIL)
中学時代から部活でバドミントンを始めましたが、大学2年の終わりに事故に遭い、車いす生活となりました。大学ではバドミントンサークルB.A.S.S.に所属し、事故後も友人が戻ってこいと言ってくれたこともあり、1年の休学を経てすぐにB.A.S.S.に復帰しました。車いすになっても千葉大学の友人とまた一緒にバドミントンをしたいという想いが、私にとってパラバドミントンの原点です。
千葉大学で車いすバドミントンを始めてからちょうど20年目、東京2020パラリンピック出場を果たせました。結果は5位入賞となり、目標にしていたメダルには届かなかったものの、とても充実した環境で試合ができたことに本当に感謝します。無観客開催となりましたが、千葉大学の友人らからも多くのメッセージをもらいました。応援が本当に力になりました。
学生へのメッセージ
私は不幸な事故で車いす生活となりましたが、その後は人に恵まれて支えられながら障害を克服し、東京パラリンピックで入賞するまでに至りました。多くの千葉大生にとって、障害者や多様性のことを考える機会は少ないかもしれません。卒業生にパラリンピアンがいることで多様性の大切さを感じ、気づきを得て、変化するきっかけになれば嬉しいです。また、大学の友人は一生の付き合いになるので、ぜひ大事にしてください!
オリンピック開会式・国歌独唱歌手のドレスをデザイン
デザイナー 小泉 智貴さん
(2012年教育学部卒)
普段は服飾関係のデザイナーとして活動しています。
千葉大学時代は、縫製技術研究会というサークルで年2回ファッションショーをしていました。そこで製作したものがデザイナーとなるきっかけになりました。
この度はMISIAさんサイドからオファーをいただき、国歌独唱で着用するドレスのデザインおよび製作を担当することになりました。
世界中の方々が目にすることになるので、少しでも皆さんの心に希望が湧くような、光のような存在となるドレスになったらと思いデザインさせていただきました。
学生へのメッセージ
大学内で学ぶことと、学外で経験することを組み合わせて、自分自身の社会に対する使命を見つけていける学生生活にしていってください。
大会に向け学生主体で取り組みを続けてきた
千葉大学発の「学生団体おりがみ」
都築 則彦さん
NPO法人おりがみ 理事長 大学院人文公共学府博士後期課程 2年
おりがみは、東京2020大会への参画の幅を広げることで、スポーツの感動の力を社会課題の解決に結びつけるため、パラスポーツの体験会や地域の夏祭りの復活など、多くの企画を生み出してきました。活動開始から7年間、主体的に動けば動くほど、挑戦の機会に恵まれ、計り知れない感動を味わっています。一方で、多くの課題があることも身をもって知りました。
私は松戸市の聖火ランナーとしてトーチキスに参加しました。「たくさんの学生が輝く2020年を創るんだ」という目標を持って設立したおりがみ。聖火リレーを繋いだその日に学生団体の代表を交代し、想いを後輩たちに託すことができました。
これまでの活動の中で、オリンピック・パラリンピックを通して主体的に社会と関わる価値を知りました。これからのボランティア活動でも、課題を解決し、居場所を見つけ、ロマンを追う手法を生み出して、誰一人、自分の可能性を諦めなくて良い社会を目指していきたいです。
松浦 醇さん
千葉大学学生団体おりがみ 代表 法政経学部 3年
新型コロナウイルス感染症の影響で、他団体との活動やイベントが軒並み中止・延期になってしまいましたが、今年度は千葉市椿森公民館さんや民生委員の皆さんと協力して地域の子ども向けにボッチャ大会を開催しました。ボッチャ大会では、緊張していた子どもたちが、初めて知るボッチャのルールを覚えて試合を進めるうちに、次第に笑顔になっていくのを見てとても嬉しかったです。大会を通じて、子ども・大学生・高齢者の方という普段関わることのない世代が1つの競技を一緒に楽しむことのできるというパラスポーツの可能性に気づくことができました。
オリンピック・パラリンピック終了後も、子どもたちにパラスポーツの楽しさを知ってもらう活動や世代間交流を可能にするスポーツイベントを続けていきたいと思います。
千葉大学の教員・卒業生が様々な場面で活躍しました
医療ボランティアとして新種目を支える
大学院国際学術研究院
山口 智志准教授
オリンピックでスケートボード会場の医療ボランティアに、整形外科医として参加しました。理学療法士、アスレチックトレーナー、看護師と一緒にチームとなり、主に競技会場内での選手の救護や怪我の治療を行いました。
猛暑のなか連日の長時間勤務は過酷でしたが、新種目の救護体制の構築に微力ながら関われたことは貴重な経験でした。新型コロナウイルス感染拡大の中での参加は、医師として複雑な心境ではありましたが、今回の活動で、好奇心や挑戦心を持ち続けること、人との繋がりを大切にすること、仲間への敬意を忘れないこと、どんな仕事でも楽しむことの重要性を学びました。
語学力を活かして選手団をサポート
落合 太一さん
(2011年教育学部卒、2013年教育学研究科修了 昭和学院高等学校教員)
バドミントン競技におけるアスリートサービス部門スーパーバイザーとして選手団を英語でサポートしました。選手団と接する最前線の部門のトップを担い、業務内容は選手村と会場の往復バス管理、会場案内、質問対応、練習会場から試合会場への誘導など多岐にわたりました。
アスリートサービスは、選手がストレスなく気持ちよくプレイしてもらうことをサポートするチームです。チーム関係者やボランティアさんたち全員が満足・充実できることをモットーに仕事に取り組みました。私たちが工夫を凝らせば凝らすほど、みんなが笑顔になる、やりがいのある仕事ができたことは大きな経験ですし、幸せでした。大会が東京で、そして日本で行えたことは本当に幸運でした。
様々な人との出会いに感謝したいです。
学生へのメッセージ
私はもともと小学校免許と社会科の免許を取る学科にいましたが、大学で英語に興味が湧き、英語の教員になることを目指しました。どんなことも無駄にはならず、経験値として自分に蓄えられるので、失敗を恐れず、様々なことにチャレンジしてほしいです。
世界最高峰の試合で審判を務める
猪瀬(旧姓石塚)祐香さん
(2010年教育学部卒 栃木県立宇都宮南高等学校教員)
私はバドミントン競技の審判員として線審を務めました。試合後には選手をミックスゾーン(報道関係者がインタビューを行う場)へ誘導する役割を担うこともありました。
もともと審判にも興味があり、間近で世界最高峰の試合を見ることができることにも魅力を感じていたことから県バドミントン協会に参加を希望し、募集人数1名のところを幸運にも選ばれました。
7カ月の娘がいるため参加を悩むこともありましたが、オリンピックを間近で見ることができたことや、海外の方を含む多くの方と関係を作れたことは私にとって大きな財産となりました。参加ができて本当に良かったです。
学生へのメッセージ
目先の楽しいことや楽なことばかりに流されずに、自分を成長させるための試練だと思って、辛いことや苦しいことにもぜひ前向きに挑戦していってください。
卒業生がオリンピック聖火リレーに参加
後藤 明人さん
(2005年工学部卒、2007年大学院自然科学研究科修了 トヨタ自動車株式会社)
「先天の病気で小さいころから移動することが億劫でした。諦めたくなることが多いからこそ、誰もが夢を実現できる社会にしたい。チャレンジに対して物理的な困難があるのであれば、それを解決するロボットがあることを多くの人に知ってほしい」。たくさんの人々が集まるオリンピックの舞台で、このメッセージを届けることで、誰かの1歩を踏み出すきっかけになればとの想いで応募しました。
聖火リレー参加にあたり、生活支援ロボットHuman Support Robot(HSR)と一緒に走ることを希望しました。聖火リレーにロボットと参加する前例がなかったため、当初は許可が下りず、実現するまでには乗り越えなければならないハードルがたくさんありました。仲間を集め、そのハードルを乗り越えた結果として当日を迎えたので、走り切ったときは達成感でいっぱいでした。沿道からの小学生、地元の方、スタッフの笑顔の声援を受けて、途中であきらめなくて良かったと思いましたし、こちらがたくさんの元気をもらうことができました。
学生へのメッセージ
千葉大学は、総合大学で様々な専門分野、経歴、多様な価値観をもった学生、先生方がいる、学ぶ環境としてとても素晴らしい大学だと思います。学生時代だからこそ、興味をもったらまずは行動して、たくさんの体験をして、充実した学生生活を送ってください!
岩澤 恵史さん
(2021年国際教養学部卒)
聖火ランナーに選ばれたとき、まさか自分が選ばれるとは思っていなかったので初めは驚きが大きかったです。しかし時が経つにつれ地域・世代の代表としての意識が高まり、責任を持って最後までやりきろうという気持ちが大きくなりました。
昨今の事情もあり、トーチキスに参加すべきか否か本番1週間前まで悩みました。しかし、この大役は自分だけの力で掴んだものではないので務めを果たすべく参加しました。灯された炎には先人たちが紡いだ歴史の重みを感じました。聖火ランナーに選ばれたとき、まさか自分が選ばれるとは思っていなかったので初めは驚きが大きかったです。しかし時が経つにつれ地域・世代の代表としての意識が高まり、責任を持って最後までやりきろうという気持ちが大きくなりました。
昨今の事情もあり、トーチキスに参加すべきか否か本番1週間前まで悩みました。しかし、この大役は自分だけの力で掴んだものではないので務めを果たすべく参加しました。灯された炎には先人たちが紡いだ歴史の重みを感じました。
大学を挙げてパラスポーツの普及に貢献
千葉大学では、パラスポーツに対する理解の促進や競技人口の増加を図ることを目的として、パラスポーツに関するイベントや教育・普及活動を行ってきました。
2016年から2019年まで毎年開催したパラスポーツ交流会は、東京2020応援プログラムに認定されており、小学生から高齢者の方まで幅広く参加しました。選手たちの指導のもと、シッティングバレーボールやボッチャをはじめ、様々なパラスポーツを体験しました。