2024年7月26日(金)、国立歴史民俗博物館で千葉大学の交換留学生4名がワークシート発表会を行いました。ワークシートとは、展示内容について、来館者が分かりやすく理解するための資料(リーフレット)のことです。ワークシートの作成は、千葉大学が大学間交流協定校から学生を受け入れるプログラム(J-PAC)の一環として実施しているプロジェクトで、留学生が歴史民俗博物館の展示スペースの中から1か所を選び、歴史民俗博物館の教員の指導のもと、1年間かけてその展示の見どころや歴史的背景等を研究し、留学生の母語でワークシートにまとめるというものです。西千葉キャンパスでの授業とともに、毎月1回は歴史民俗博物館を訪問し、教員から展示を見ながらの指導を受け、制作を行います。
当日は、村木二郎国立歴史民俗博物館准教授の挨拶のあと、作成したワークシートを持って館内の展示を観覧し、そのあと4名の留学生がそれぞれのワークシートについて発表を行いました。
留学生が作成したワークシートのテーマは、「平安時代の華やかな王朝文化」「四季農耕図屏風」「魔法みたいに――不思議があふれるまじない」「現代の大衆文化」です。いずれも深い考察やユーモアを織り込んだ力作で、普段なら通り過ぎてしまいそうな展示も、このワークシートを片手にするとじっくりと足を止めて見入ってしまうことが期待されます。
「魔法みたいに――不思議があふれるまじない」では、日本にある、おまじないの仕草や呪文を紹介し、実際にその仕草を試したり、口に出したりして楽しむことができます。作成者のWU YUCHENさんは、「まじないは世界にも様々あり、日本国内でも地域や世代によって違いがあります。ワークシートや展示を見ながら、『知っている・知らない』『自国ではこういうまじないがある』というように会話が広がることを期待し、このテーマを選びました。」と発表しました。
修了証書授与のあと、ワークシートの配架式が行われました。このプロジェクトは2009年から実施され、今年度までで合計71のワークシートが中国語、タイ語、ロシア語、ドイツ語、インドネシア語、英語などさまざまな言語で制作されてきました。来館者は、休憩スペースに配架されている過去に学生が制作したワークシートを借りて館内を回ることができます。(Webサイトからも入手可能 https://pre.rekihaku.ac.jp/research/education/international_student/)
閉会の辞では吉野国際教育センター長が、「戦争や紛争が各地で起こっているこの時代だからこそ、留学生が、ワークシートの作成を通じて日本の文化や歴史を深く知り、帰国後も国境を超えて理解を深めていけるとても意義のある取り組みだと思う。」とコメントしました。